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『システム英単語Ver.2』 刀弥雅彦 霜康司


システム英単語 Ver.2.jpg



大学受験の英単語暗記用のテキストで、今もっとも人気があるのが本書ではないでしょうか。実際に、大学受験生の学習効率を上げる、無駄を省くという点では、大変よく工夫されています。


特徴は何と言っても、膨大な量の新しい英文で使われている単語をコンピューター解析をし、ある単語の使用頻度が少ない意味や、あまり使われない品詞などは思い切って省いてあるという点です。例えば、



senior を 代表的な 「~より年上」 be senior to - と覚えても、入試ではほとんど出ていないから、a senior member of the club  というつながりで覚えようとします。訳語には 「先輩の」 とあてられています。

industry には「工業」の他に 「勤勉」 という意味があるが、後者は前者の300分の1くらいの出題頻度なので、覚えなくてよいだろう。(ただし、と言いながら後ろのdiligent の同意語に industrious が出ている)




という具合です。


もう一つの特徴、私がもっとも高く評価できるのは、すべてコロケーション形式、つまり単語だけでもなく、無理に作った一文でもなく、数語のつながりで列挙されているところです。

そして、ここでも使われる形について頻度を解析し、受身で多く使われるものは受身で、決まった前置詞とくっつきやすいものはそのかたちで一緒に書いてあります。従って、その形で完全に覚えることができれば、英作文などにもかなりの効果が期待できます。


CDが別売りで出ていますが、そのコロケーションの組み合わせで記憶に残すために、単語⇒フレーズ⇒その訳⇒フレーズ⇒フレーズ と繰り返してくれています。3回聞けるわけです。シャドーイングが非常にやりやすいですね。


逆に、私が気になるところは、あまりにも贅肉をそぎ落としてしまったために、テキストにおける単語の説明が淡白で、深みがないという点です。完全に暗記作業になってしまいますので、記述は少ないけれど逆に、果たして頭に残るのかという心配があります。



例えば、sympathy の反対語が antipathy というのですが、前者が10年間の入試に200回以上出ているのに対し、後者はたった4回だけだから覚える必要がないと主張し、実際本書には見出し語に出ていません。


しかし、私の考えでは、sympathy を印象付けるためにも antipathy と一緒に提示しておくべきだし、~pathy の部分が同じで、sym~ と anti~ の接頭語の意味も覚えられ、未知の単語にであっても推測する手段が増えますし、ものすごく大切な要素だと考えます。語源を知ることは単語学習、異文化理解の近道です。


また、industry にしても 『「(人に)本来備わっている性質」「勤勉」⇒「(それによって生み出される)「産業」』という語源があるわけですから、それを書けとは言いませんが、テストに出ないから省くというのでは、深みに欠けると思えます。

確かにみなが英文科を受けるわけでも、塾の英語講師になるわけでもありませんが、まったく異なるように見えるものが、実は地下水脈でつながっていることを発見することは、すべての学問にとってのダイナミズムではないでしょうか。という訳でテキストの記述が不十分です。


(高校野球を例にとると、ピッチャーは時速160kmの速球は絶対投げないし、140Kmだってめったにないから、130kmのストレートを集中的に練習する。そういう姿勢は理にかなっていますが、面白みに欠けるように思うわけです(笑)。特にトップレベルを目指すなら。どうせなら160Kmや、161Kmで練習しておく方が、練習が楽しいし、そういうことがあるということを知っているだけでも、伸びが全然違うと思います。)



あとは本書に限らず、使用頻度順になっている単語集の宿命ですが、同じ意味でも、例えば「混乱させる」 の puzzle は一番基本のところにあり、perplex は一番最後まで出てきません。私なら、confuse などと一緒に教えてしまいます。その方が別々にやるよりもずっと頭に残りますから。


もう一つはやはり量の問題ですね。繰り返し読んでくれるのは確かに印象に残りやすいのですが、CDが5枚。ひたすら単語ですから、よほどうまく計画を立てなければ、挫折してしまいそうです。本書をキクタンのように “Basic” と “Adovanced” のように二つに分けていただいて、さらに各語の解説が丁寧になっていれば、かなり生徒に薦めやすくなります。



良い面と気になった面を上げてみましたが、いかがでしょうか。主要な単語集は、これでほぼ網羅できたと思いますが、まだ何かありますかね。これまで扱った単語集は以下のようなものです。


コロケーション英単語ー単語と単語の結びつき』  『DUO 3.0』 

英単語ターゲット1900』  『キクタンコーパス英単語【スーパー12000】』 

音読英単語Stage2』  『速読英単語(必修編)



いずれにしろ単語集は、常に学習においては “主” ではなく、“従” であるということを肝に銘じておいて下さい。授業や過去問で出てきた単語をしっかり覚え、その上空いた時間を利用して使うというのがベストです。


私の単語集に対する考え方は、各記事で述べましたので繰り返しませんが、本書のようなタイプは特にそう感じます。もし使われる方はCDを利用して通学時間などを有効に活かすというのが一番良いはずです。


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『システム英単語Ver.2』 刀弥雅彦 霜康司
駿台文庫:359P:999円


システム英単語Ver.2 CD.jpg ←こちらが別売りCD5枚組です。2199円



 

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テーマ:英語学習記録 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2007/04/02(月) 07:53:52|
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