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今日5月25日の新聞の社説は、朝日、毎日、読売、産経、日経5大紙ともすべて、中国と韓国が日本の麻生外務大臣とカタールのドーハで会談したことを論評していました。 確かに歓迎すべきことですが、どの新聞も、この会談が実現した経緯を明らかにしていません。分析がほとんどなく、論調自体も、どこか歯切れが悪く、“日中関係を改善しよう!”で終わっています(笑)。
これまでかたくなに、首脳会談だけでなく、最近は外相会談も避けてきた、中国と韓国が、なぜ会談に応じたかのか興味のあるところですが…。 私ももちろん自信はまったくありませんが、ひょっとしたら、中国から、関係改善のシグナルかもしれないと思ったのは、本書を読んでいたからです。
筆者は東京新聞の編集委員で、中国関係の専門家です。日中外交の解決に関して、氏の結論は、結局 “日本が譲るべき” となっていますので、本書の評判はあまり良くないようです(笑)。が、本書の中国国内の政治勢力に関する分析は、冷静に緻密に書かれていて、私は実におもしろく読めました。
同じ親中派(勝手に決め付けてごめんなさい) の中国分析の 『
「反日」解剖(水谷尚子著)』 とは対照的です。
韓国の盧武鉉政権もそうですが、そもそも中国の胡錦濤主席誕生当時は、日本にとって新時代を連想させる指導者世代の出現に思えたはずです。 それを示すような発言は主席自身やその周辺からいくらでも出ていますし、以前ご紹介した、馬立誠氏の『
反日からの脱却』 や『日本はもう中国に謝罪しなくていい』 が代表的なもので、それが中国の新政策になる可能性があったことは確かだと思います。
中国では『対日新思考』 とか『平和的台頭論』 というのだそうです。簡単に言えば、“日本外交から、歴史問題をはずす” ということです。『富国強兵』 のスローガンはもう古いということですね。
前国家主席の江沢民が小泉首相との初めての首脳会談で、3回も靖国を含めた歴史問題に言及したのに対して、胡錦濤主席は、初会談はもちろん、就任後ずっと歴史問題に触れず、中国にとっても重荷になってきた“歴史”という荷物を下ろしたがっていたというのです。
私も個人的にも、ある時期から突然、中国が明確に反日へと変化した印象を持っていましたが、実は筆者がよく観察したところ、反日に転向せざるを得なかった契機がはっきしている。
2003年10月、温家宝首相とインドネシアで会談した小泉首相の談話です。靖国問題について、日本なら何でもないコメント、『中国側も理解している。日中友好の阻害とはならない』という発言です。つまり、中国首相と会った直後に、これからも“靖国行くよ” と宣言してしまった、と取られたのでしょう。
中国では、本人のメンツがつぶれるということは、国内の権力闘争が激しいため、政治家としての死、つまり失脚を意味するということです。そこから変わったという分析です。中国政権内の人脈、権力構造などにも詳しく言及しており、説得力があります。
つまり、小泉首相だけでなく、日本の外務省はのんきに中国のシグナルを見逃していたし、その上、取るに足らないコメントが予想外に受け止められたというわけです。
中国がこんな調子だとしたら、確かに、胡錦濤主席も、橋本元首相とは会えても、小泉首相と会うのはこわいだろうなと納得したわけです。会いたくても会えないまるで恋人(笑)。
これから始まる自民党総裁選で、日本の首相が決まるわけですが、もしダークホースだった福田さんが選ばれるということになれば、明らかにそれは外交姿勢が他の候補と違う、はっきりいえば親中だということでしょうから、靖国問題を次の総裁選と結びつければ、中国・韓国は堂々と内政干渉をして、それが功を奏したというかたちになります。
今の雰囲気で日本がそれを容認するとは思えませんので、たとえ中国が望むであろう福田政権ができても、日本ではますます、反中が広がりそうです。そうなってしまっては、元も子もありません。
実際、サッカーのアジアカップは非常に大きなインパクトを子供たちにも与えました。“あんなことをしておいて、謝らない国なんだ”と。生徒たちには信じられないんですね。
破壊行為を謝罪して、日本と関係改善をしたくても、そうさせてもらえない政権基盤、押さえきれないナショナリズム。日本でさらに反中国感情が高まり、それに呼応して中国国民をさらにあおるという事態になれば、オリンピックなどこれから本格的に国際イベントがおさえられないという危機感の表れで、中国が対日関係を改善したがっているというのは、かなり信憑性があると感じました。
『中国が「反日」を捨てる日』清水美和
講談社新書:254P:920円
http://tokkun.net/jump.htm 中国反日 サッカー

- 2006/05/25(木) 18:14:47|
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