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『スヌーピーの処世哲学』 廣淵升彦

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Snoopy.jpg



こちらのブログに時々コメントを下さる、国際ジャーナリストでエッセイストの廣淵升彦先生。先生の、大変ユニークで、おもしろい、好奇心を刺激する新刊が出版されました。本書です。

副題は、『感性をみがく言葉の力』 とあり、本の帯には 『スヌーピーたちに学ぶユーモア、人情の機微、会話術』 と書いてありますが、まさにその通りの一冊です。


まず、スヌーピーが登場するマンガ 「ピーナッツ」 や、その登場人物の簡単な紹介があります。なんと、「ピーナッツ」は50年!も続いているんです。“サザエさん”と互角です。

そして、サザエさんに、日本的な風景や社会、日常が描かれているように、ピーナッツにはアメリカ的なものが、ぎっしり詰まっているわけです。しかもそれがアメリカにとどまらず、世界中の人の心をとらえてはなさない。


個人主義が発達し、生存競争が激しく、自分をアピールしなければならないアメリカ社会。サザエさんの穏やかさとは対照的ですが、そこで生まれ育ったピーナッツは、よ〜く観察してみると、教養豊かな会話や知的ユーモアの宝庫、毒も笑いもあって、“処世哲学”がふんだんにちりばめられているので、それを学んでしまおうというわけです。


本書で紹介される「ピーナッツ」は、4コマ程度が中心ですので、サザエさん以上に、より象徴的に、凝縮した形で、表現されています。お見せした方が早いと思いますので…、こんな感じです。


Snoopy 中.JPG



見にくくて恐縮ですが、例えば、このマンガ、ある出来事がきっかけで、女の子(サリー)が男の子(ライナス)にさんざんの悪態をつき、

どこで会っても、絶対に口をきかない” といって去りますが、最後に男の子が

 もしもボクがライ麦畑を通ってきたらどうする

How about if I were coming through the rye?” と呼びかけています。


なぜこれが、オチになるのか、すんなり分かれば良いのですが、白状しますが、私も本書で学んだ次第です。こういった文化的背景や、英語に関する解説が、マンガに続きます。ピーナッツで使われる英語自体も、妙な副詞や修辞法を用いることのない、しっかりした英文なのですね。“しょせんマンガ” とあなどってはいけません。


廣淵先生はご自分のブログ “ View of the World - Masuhiko Hirobuchi ” でも、本書でも、正しい言葉、生き生きとしたやりとり、そして気の効いたユーモア(できれば高い教養)などを強調されます。


今の日本の言語空間が非常に安易な、単一の言葉で、さまざまな事象を解説し、片付けられてしまっている現実に警鐘を鳴らします。

言葉は、本人が気付く以上に、自分の評価を上げたり、下げたりし、意思伝達の手段であると同時に、思考の源でもある。そこが貧困になれば、個人の思考も、そしてやがては、社会や国家まで貧困な精神が蝕んでしまう。そのことに意識を向けて欲しい、そんな願いを感じる一冊です。


哲学” とは言っても平明な言葉で解説してありますので、国際人と呼ばれることをめざす夢多き若者から、我々のような英語教師はもちろん、中学生まで興味を持って読めると思います。

純粋にマンガを楽しむのだって“アリ” (あっ、怒られる、もとい“No problem”?)だと思いますよ(笑)。


尚、廣淵先生の作品がおさめられた、別の一冊、日本エッセイスト・クラブが出した 『片手の音 ’05版ベスト・エッセイ集』 も、以前ご紹介しましたので、ご覧いただければ幸いです。





P.S. 
自分の無教養をさらしてしまいますが、実は、私はスヌーピーというキャラクターは見慣れておりますが、それがそもそも「ピーナッツ」から生まれたということすら知りませんでしたので、本来、レビューを書く資格すらあやしいのです。先生、すみません。

でも、まぁ勇気を振り絞って(笑)、書きました。安直な言葉の汚染の片棒を担いでいる身にとっては、耳の痛い話で、本記事が、先生のご著書を汚すことのないことを祈りつつ。



http://tokkun.net/jump.htm 


スヌーピーの処世哲学』 廣淵升彦
海竜社:230P:1575円


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↑で、サザエさんを例に出しましたが、そういえば、以前、『 バカモン!波平、ニッポンを叱る(永井一郎) 』をご紹介した折に、唯一コメントをいただけたのは廣淵先生でした。偶然でしょうかね?

それを思い出して、2位とも離されましたし(笑)、記念にこんなバナーを作ってみました。

ややヤケクソ気味でございます(あっ、また怒られる)。よろしければ、応援の1クリックをしていただけると、大変うれしいです。

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