本を読もう!!VIVA読書!【LIST編FC2】

【絵本から専門書まで】塾講師が、生徒やご父母にお薦めの本をご紹介!本体【goo】の書評リスト編です。コメント大歓迎!  

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『高校を変えたい! - 民間人校長奮戦記』大島謙

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高校を変えたい!.jpg



世界史の履修問題とつながっているのかどうか定かではありませんが、とうとう茨城県立佐竹高校の高久校長の自殺というところまできてしまいました。

教職員たちの司令塔、学校のシンボルであるはずの現役校長が、自殺という衝撃的な事件によって、突然いなくなってしまった高校の混乱はいかばかりでしょう。残念この上ないできごとです。


常々思っていたことの一つに、“校長先生” という立場は、もちろん学校という組織の頂点には位置していても、どうも企業の社長とは全く違う、というのがあります。

部下である自校の教師たちは、企業サラリーマンとは根本的に異なって、入れ替わりもあります。 企業であれば、その会社の将来に自分の夢をかけた人物がその組織に参加していますから、社長と共に企業の繁栄という一つの目的を共有できますが、学校はそうはいきません。

企業が社長のもとに“一丸”となるのと、学校が校長と“一致団結”するのとは全く違うプロセスなり、戦略が必要だと思うのです。どちらがやりやすいかは明白です。

また、社長の上には何もありませんが(株主を除けば)、校長の上には教育委員会、さらに文部科学省に常に“指導・研修”を受けなければなりません。要するに、企業でいえば、校長先生の気持ちとしては、一国の主とはいえ、中間管理職に過ぎないということです。


校長という職は難しい、分かりにくい、そんなことを教えてくれた一冊が本書です。


筆者は三重県で初めての民間人校長として、公募によって選ばれました。大島氏は東芝入社後、東芝アメリカベンチャーキャピタル社の社長まで勤めた後に、公募に応じた純粋なビジネスマンです。

私は大会社のビジネス慣行も、学校の運営の実態も直接は何も知りませんが、本書を読んで、同じ“組織” と呼ばれていても、両極端といってもよいほど違うなという気がしました。本書には、大島氏の応募の経緯から、その後の苦悩まで、すべて書かれています。

私自身が生徒の時には、校長先生はいつも優しくニコニコしながら生徒に声をかけていらっしゃいましたが、普段は授業もなく一日何をしているのだろう、と思ったものです。

筆者も校長業務の予想外の忙しさに苦しめられます。その中でも、有益でないものがかなりあるために、さまざまな改革に乗り出します。

何かしようとすると、必ず抵抗勢力が現れます。ビジネス界の常識で乗り切ったり、それではどうにもならないものに様々な工夫をして改革を成し遂げていく過程は痛快です。

同時に、“学校のしくみ” というやつは、こんなにも複雑なんだと知ることができました。 以前、ご紹介した、底辺高を改革する校長の物語 『熱血!ジャージ校長奮闘記(鈴木高弘著)』 も最高におもしろかったのですが、こちらの著者はまったくの畑違いの出だけに違った意味で勉強になりました。


結局は、システムの問題がどうであれ、命がけで改革しようというリーダーが校長になって、どれだけ先生方を巻き込めるか、そこにつきるのではないかという気がしました。

先生が変われば、生徒は自然に変わっていく、その様子が感動を呼び起こす、そんな一冊です。


それにしても校長先生の自殺というのはやはり衝撃です。本書のようにすべてがうまくいくわけではないでしょう。日本全国に校長先生は何万人もいます。偉そうですが、すべての校長にエールを送りたい、僭越ながら、教職を志した時の気持ちを思い出していただきたい。そう思いました。


http://tokkun.net/jump.htm 



 『高校を変えたい! - 民間人校長奮戦記』大島謙
草思社:241P:1575円


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ナビゲーター世界史B 新課程用』鈴木敏彦

 

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ナビゲーター世界史B.jpg



NEW 青木世界史B講義の実況中継』 を取り上げた折、生徒らからコメントはなかったのですが、それに対するアクセス数が相当数ありました。そこで、もう一冊の世界史のメジャーな参考書である本書を紹介します。


今回も、本書の使い方などを、genio先生にお願いしました。受験生のみんなよく読んで。


■■■

しばしば「青木世界史B講義の実況中継」との優劣が議論される一冊ですが、それぞれに個性があり、両者そのものの優劣はつけられませんので、大事なのは受験生それぞれとの相性です。

ナビゲーター世界史は、全体の情報量で実況中継に劣ることは決してないのですが、冒頭で鈴木先生が書いているように、基礎の徹底に重点をおいているのが特徴です。

従ってメインストーリーは、最初に重要項目をまとめ、何処に注意して読み進めていったら良いのかが明確に記されています。その意味ではじめて勉強する高校生にとって、ナビゲーターは親切な参考書と言えるでしょう。

また、雑談やエピソードなどはフォントサイズを小さくして、あくまでオマケという扱いです。(しかし、鈴木先生の雑談レベルは相当に高い。)  

更に、受験生が苦手とする現代史に関しては、先ず世界全体の流れを追って柱を作ってから、もう一度各国の状況について詳述するという方法を取っており、現代史をはじめて勉強する受験生の皆さんにはナビゲーターの方がお薦めです。

全体的には受験参考書として真面目な内容で信頼できる反面、青木先生ほどのダイナミックさがない印象であることも事実で、個人的には青木先生のものが合うのですが、もちろん受験生一人一人にとっての使いやすさとは次元の違う話です。

従いまして、


【ある程度力のある受験生→実況中継】

【基本から固めさせたい受験生→ナビゲーター】



ということになります。

私の教室 では、それを納得させるため、自分の目で比較検討できるよう、両方とも全巻揃えて、生徒には貸し出しもしています。

■■■

ということです。 生徒諸君!もし直接、ききたいことがあれば、genio先生のブログにコメントして下さい。(もちろんこちらでもOKです)

→『試験に出る!!時事ネタ日記』  ガンバレ世界史受験生!


http://tokkun.net/jump.htm 



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ナビゲーター世界史B 新課程用』鈴木敏彦
山川出版社:231P:980円




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  1. 2006/10/31(火) 00:33:54|
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『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)

 


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supaisusennsou.jpg



大変おもしろい一冊です。本書はその綿密な調査で、発売と同時に大絶賛を受けたそうですが、筆者によれば、東インド会社の資料館のようなものには、誰も手を付けていない貴重な資料がまだまだ山のように残っているそうです。

大航海の時代、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダなどが胡椒やナツメグなど東インド諸島の香料を巡って繰り広げた争奪戦を描くノンフィクション。 途中イギリス船に乗った日本人傭兵が登場しますが、そんな話、聞いたことありますか。

まぁ大した役割はなく、だまし討ちにあったり、拷問にあったりして殺されてしまうのですが1600年前後、朱印船に乗った人々の中にそういう争いに巻き込まれた日本人がいたというのを不思議な感覚で読みました。

以前、使ったこの地図でじっくり見てみると、彼らの船は日本のすぐ下にまで来て、やりたい放題の悪さを働いていたんです。


map2.JPG← クリックで拡大されます。


  
彼らが、日本に興味を持ってしまったら、江戸時代以降、かなり歴史は変わっていたんだなぁ~と実感しました。ヨーロッパ人がもう少し足を伸ばしていたら、と考えるとぞっとします。

というのも、後半部分は “イギリスVSオランダ” の戦いが描かれていますが、ヨーロッパ人の冒険心や勝負の徹底振りはため息が出ます。この宿敵同士の戦いはすさまじく、殺し合いや裏切りは、日常茶飯事。

原住民などは人間と見なしていないのでしょう。捕らえては、拷問、虐殺、または奴隷狩りのような対象に過ぎません。『ちゃんと歴史の教科書に書いとけよ!』と叫びたくなるくらい(笑)。

ただ、私の生徒から、その時代、日本に最初に来た外国船には、仲の悪いはずのイギリス人(ウィリアム・アダムス、のちの三浦按針)とオランダ人(ヤンヨーステン)が一緒に来たと聞いて驚きました。

いずれにしろ非常におもしろく、香料、特にナツメグは肉の防腐剤としてヨーロッパでは非常に貴重らしいのですが、東インド諸島では、それがただ同然で入手できたそうで、巨万の富を築くために命がけでヨーロッパ諸国が争いました。

その後、日本は、出島は開港したものの、占領されず、無事に鎖国を続けられたのは、奇跡的な幸運だと思わずにはいられません。


http://tokkun.net/jump.htm 


P.S. 受験生は大航海の時代を復習! 例によって、genio先生のブログ

→ 『入試に出る!!時事ネタ日記』   ガンバレ!世界史受験生!



『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)
朝日新聞:362P:2940円

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  1. 2006/10/30(月) 15:23:47|
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私立・国立中学受験 『2006年度入試【国語出展】』(女子校)



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前回の男子・共学校に続き、女子校の出題データを、掲載いたします。

【学校名】     【作家】       【書名】

■女子校■
桜蔭               高階秀爾                 新編・日本美術を見る目
桜蔭                               岩瀬成子                  となりのこども
双葉                                 伊集院静                  きみとあるけば
お茶の水                        あさのあつこ             バッテリーⅡ
お茶の水                        森山卓郎                  コミュニケーションの日本語

豊島岡女子学園            李御寧                      ジャンケン文明論
豊島岡女子学園            笹生陽子                  ぼくらのサイテーの夏
頌栄女子学院                梶原しげる               そんな言い方ないだろう
頌栄女子学院                いしいしんじ             麦ふみクーツェ
学習院女子                    三浦哲郎                   ユタと不思議な仲間たち
日本女子大学附属           新聞記事より
日本女子大学附属           宮崎駿の文章

立教女学院                   森永卓郎                      岩波ブックレット657)
立教女学院               パトリシア・ライリー・ギフ     ホリス・ウッズの絵
東洋英和                       小川洋子                       偶然の祝福
共立女子                       晴佐久昌英                   恵みのとき
共立女子                       三宮麻由子                   目を閉じて心開いて
共立女子            金田一春彦                   日本語を反省してみませんか

大妻                             佐々木瑞枝                     壊したの?壊れたの?
大妻                             増田みず子                     ナガレボシ
大妻                             齋藤孝の文章
跡見学園                    伏見憲明                          さびしさの授業
跡見学園                    斉田てる子の文章
跡見学園                    財部鳥子                         詩の贈りもの12ヶ月(秋・冬)
実践女子学園           火野葦平                         天にのぼる話
実践女子学園           勝見勝                             手・道具・機械ー人間の進化の跡ー

十文字                          ルィーゼ・リンザー              波紋
光塩女子                      小川洋子の文章
光塩女子                      田中優子の文章
浦和明の星女子        渡辺淳一                          知的冒険のすすめ
浦和明の星女子        中沢けい                          うさぎとトランペット
鴎友学園女子            大屋研一                          のめっこ少年戦中紀聞
鴎友学園女子            宇佐美彰朗                     女子マラソン どうして強くなったのか

東京女学館                    横山充男                          夏のてっぺん
東京女学館                    中山元                              貨幣
横浜共立学園                西加奈子                         さくら
横浜共立学園                柳澤桂子                         「いのち」とはなにか
普連土学園                     内田樹                              先生はえらい
普連土学園                    朱川湊人                          花まんま


まだ、細部にわたるチェックをしたわけではありませんので、あくまで目安として下さい。



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  1. 2006/10/30(月) 10:08:51|
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『図書館の神様』 瀬尾まいこ

 
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図書館の神様.jpg



読書週間■ ですから、素敵な書名の付いた一冊、“図書館の神様”をご紹介しましょう。もちろん中身もすばらしい。


瀬尾氏は1974年生まれ、中学の講師をしているのですが、本書の主人公も中学講師です。 彼女はある事件をきっかけに、自分の勉強や進路をよく考えないまま、都会を離れて、地方の学校の講師になります。

人生の方向性を見失ってしまい、何となく妻子ある男性との付き合いは続いているものの、熱愛というのではなく、大人の諦観を持ちつつ、また教育に対する情熱のわかないまま、授業をし、文芸部の顧問を任されます。ただし、文芸部の部員は垣内くんという生徒たった一人。

部活の場である図書館から、主人公の心の再生の物語が始まります。たった一人でも部活動に参加し、本を読み考え、先生にも自分の純粋な意見をいう垣内くん。大人の世界のいやな面を知ってしまって、気力のわかない主人公との対比が自然に描かれています。

主人公の語る、学校や同僚に対する不満は経験者ならではのものでしょう。塾講師として、そのあたりも興味深く読みました。


 じ~んと来る、そんな感じです。びっくりするような派手なストーリーの展開はないにもかかわらず、最後の感動シーンまで読者を離さないような一冊だと思います。秋の夜長、きっと一晩で読みきってしまうのではないでしょうか。



http://tokkun.net/jump.htm 


P.S. 『図書館の神様』という日本語は英語になるんでしょうか。八百万の神の日本ならではの日本語??? 誰か教えて!
P.S.(2) 不倫場面さえなければ、私ももっと大声で生徒に薦めやすいし、きっと入試にいっぱい使われますよ(笑)。良い本です。



図書館の神様』 瀬尾まいこ
マガジンハウス:165P:1260円


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  1. 2006/10/29(日) 18:47:10|
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私立・国立中学受験 『2006年度入試【国語出展】』(男子校・共学校)



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公立高校に出題される本・作家ランキング を以前ご紹介しましたが、中学入試はないのかというご要望をいただきました。

実は、以前申し上げたように、公立高校と私立中学入試では、重なる部分がかなりありますので、そちらもぜひ参考にして下さい。

いわゆる大手塾から、その類の情報が出ていますので、当教室では、集計しておりませんでした。ただ、“ネット上で見つからない” という方もおられましたので、今年の入試で使われた素材を問題集から拾いました。


とりあえず、有名中学の男子校および共学校を載せます。女子校もすぐにお知らせしますので、しばらくお待ちください。

【学校名】     【作家】     【書名】

開成中学校        永井龍男        黒い御飯
開成中学校        石井政之        人はあなたの顔をどう見ているか
武蔵中           リリー・フランキーの文
筑波大学附属駒場   今江祥智       そらまめうでてさてそこで
筑波大学附属駒場   石原勝敏       背に腹はかえられるか
筑波大学附属駒場   中尾舜一       セミの自然誌

駒場東邦   ベアトリーチェ・ソリナス・ドンギ、 ジュリエッタ荘の幽霊
慶応義塾普通部  ドリス・カーンズ・グットウィン 来年があるさ
慶応義塾普通部     長田弘         記憶のつくり方
慶応義塾普通部     壽岳章子       人名について
早稲田           林望           東京坊ちゃん
早稲田                     赤瀬川原平の文章

聖光学院               瀬尾まい子                 狐フェスティバル
聖光学院               永江朗                 インタビュー術!
栄光学園           C・アドラー                 おき去りにされた猫
浅野                 三浦哲郎           みちづれ
浅野                 佐藤洋二郎              ちょっと偉そうな話
立教新座         長野まゆみ               天然理科少年
立教新座               養老孟司          ニッチ産業は穴埋め作業と同義なり

桐朋                    窪島誠一郎               無言節ものがたり
桐朋               マイケル・ルイス   コーチ
海城                海老沢泰久              空を飛んだオッチ
海城               小柳晴生           ひきこもる小さな哲学者たちへ
巣鴨                田中修               ふしぎの植物学
巣鴨               池田晶子            「コンビニエントな人生」を哲学する

暁星                森絵都                 子供は眠る
学習院                 田口ランディの文章
学習院                 池上彰の文章
明治大学付属中野     大塚柳太郎の文章
芝                    河合隼雄               日本人の心のゆくえ
芝                    重松清                   ひこうき雲

成城                 河合雅雄                   学問の冒険
成城                三田誠広                   いちご同盟
世田谷学園          小澤征良                    おわらない夏
世田谷学園            佐々木健一            美学への招待
城北                唐沢孝一                   カラスはどれほど賢いか
城北                あさのあつこ           あかね色の風
本郷                長野まゆみ                ぼくはこうして大人になる
本郷                 辻秀一                   弱さを強さに変えるセルフコーチング

灘                   阿刀田高                 殺し文句の研究
灘                    森武生                メスとパレットー外科医の春秋ー
灘                  竹西寛子                   兵隊宿
ラ・サール              菅原健介                 羞恥心はどこへ消えた?
ラ・サール                森詠                   イヌの放課後


■共学校■
筑波大学附属       重松清           その日のまえに
筑波大学附属       長谷川眞理子      科学の目、科学の心
早稲田実業               梅崎春生                    魚の餌
早稲田実業      中央大学総合政策学部編     小学生にもわかる大学の学問
青山学院中等部              窪島誠一郎               「無言館」ものがたり
青山学院中等部              青木和雄                    ハートボイス いつか翔べる日

渋谷教育学園幕張    ピーター・フランクル     美しくて面白い日本語
渋谷教育学園幕張        角田光代                    キッドナップ・ツアー
東邦大学付属                 高村薫                          落ち着きがない子供たち
東邦大学付属                 笹生陽子                      ぼくらのサイテーの夏
市川                                   宮沢賢治                      祭の晩
市川                                   猿谷要氏が語った文章

桐蔭学園                         外山滋比古                 右往左往しない「生きる知恵」
桐蔭学園                         ポーラ・フォックス        西風がふくとき
渋谷教育学園渋谷       角田光代                      キッドナップ・ツアー
渋谷教育学園渋谷       青木保                          異文化理解
開智                                  尾上圭介                    大阪ことば学
開智                                  村上春樹                    海辺のカフカ(上)


以上です。


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  1. 2006/10/29(日) 08:16:57|
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東京六大学弁当 【代々木】 大学受験生の定番!浪人生の味方!

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当教室 のある代々木には、知る人ぞ知る、名物弁当屋さんがあります。

“しょうが亭弁当” さん、通称、【東京六大学弁当】 です。

マスコミでも何度か取り上げられましたので、ご存知の方、あるいは召し上がったことのある方もいらっしゃるかも。

代々木名物なんです。

東京六大学・店2.JPG       東大弁当2.JPG


左の写真が、しょうが亭さんの店構え。東大他、一橋、慶応、立教、聖心、白百合、上智、日大弁当などがあります。

そして、右の写真が、王様、東大弁当!

当教室が代々木にできたのが、およそ20年くらい前で、それより前、なんと親子二代に渡ってのお付き合いなんですね~。お店は30年以上前からあります。

今日も東大いただきました(ハハ)。これまで何百回食べたんだろう…。若い頃は、一日2回買っていたころもありました。お気に入りは、青学弁当(笑)ですが、どれもみんなおいしいんです。

 全国の受験生に届けたい! ガンバレ受験生  

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  1. 2006/10/28(土) 17:20:38|
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『安河内の英語魂』 安河内哲也

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eigo魂.JPG


副題は 『 偏差値50から東大・早稲田・慶応・上智に受かる英語力を身につける究極の勉強法 』。表紙うらには、『死ぬ気でやってみろ!』 と、ど~んと書いてあります。

産経新聞の書評では本書を、“入試まであと4ヶ月に迫った受験生にはうってつけ”であるとし、

『文法の形や理屈だけを覚えるのではなく、“聞いて話し、読んで書く”実践的な英語を身につける方法論を述べている。「英語英語」と頭を悩ませる受験生を抱える親の方も一読して、いっしょに英語を勉強してみては。』 と好意的に書かれていたので購入してみました。

安河内先生の本は、以前、『きめる!センター英語リスニングトレーニング』 をご紹介させていただきました。テキストには注文を付けたのですが、BGM付きCDは気に入っておりましたので、期待をして読みました。

そうですね、単語暗記など、英語の勉強方法をずらっと紹介しているのですが、通り一遍と言っては申し訳ないのですが、もう少し掘り下げて欲しかったです。

これなら少し前にご紹介した『東大生が教える!超暗記術(徳田和嘉子著)』 の方が、ずっと実践的だと思います。 確かにいくつかは参考になる指摘もありますが、とても、副題にあるような、早慶上智レベルではありません。英語の指導経験があって、方法を工夫したことのある人間であれば、アルバイト学生でもアドバイスできるのではないでしょうか。

英語の参考書なのか、英語に関するエッセーなのか、残念ながらやや中途半端な印象を持ちました。 誤植も目に付きます。特に、分数の解説のある、P171は肝心のところでミスがあるので、受験生は戸惑うでしょう。

非常に売れている、泉忠司先生の『歌って覚える英文法完全制覇』 も肝心なところでの、誤植の多さに驚きました(そういえばこれも産経の書評に出ていた)が、英語の本ですから、英語の部分だけでも細心の注意を払っていただきたいですね。ホントに。


英語の勉強すべてを網羅しようとしているため、結局、リスニングにしても、文法や作文にしても、説明や例文が少なく、それを補うように、各課の最後にご自分の別の参考書を紹介されています。実際、本書よりそちらの方が良いでしょう。

厳しい書評になりましたが、安河内先生は、アマゾンで見ますと、著作が60冊以上になっています。また、東進ハイスクールカリスマ英語教師と言われ、受験生に対する影響力はかなり大きいはずですから、もう少し丁寧に作って欲しかったですね。

英語を教えた経験のないアルバイト講師が、指導方法の参考にするのが良いかもしれません。失礼ながら…、安河内先生! 『死ぬ気』で書いていただきたかった。


http://tokkun.net/jump.htm 


『安河内の英語魂』 安河内哲也
ダイヤモンド社:214P:1365円 


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  1. 2006/10/28(土) 12:30:27|
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『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵

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世界史.JPG


高校の必修科目である世界史の未履修問題、こんなことがあるんですね。誰かが責任を取るのでしょうか。校長への注意だけなら生徒は助かりますが、ゆとりの時、あれほどもめていた“指導要領”とは一体何なんだということになるでしょうね。

少なくとも公文書に、虚偽の記載は法律違反でしょうし、岐阜の裏金でもあったように、教職員のモラルハザードはどこまでも続いてしまう。一方、自分の受験科目じゃないのに、まじめにやっていた学校の受験生は、どう感じるでしょうね。


かといって厳しく対処すれば、世界史受験科目にしていない生徒はたまったもんじゃないですね。たまたま2007年度入試を受ける現役の生徒たちが、受験直前に世界史受験でもないのに、その集中講義を70時間も受けなければならないという、信じがたい状況に追い込まれてしまいます。 学校の不始末を生徒たちが責任を取らされるわけです。

卒業延期して、入試の後に補習というのが現実的でしょうか。それにしてもやっぱり誰も従いたくないような指導要領だった。文部科学省は、裸の王様だということがよくわかったでしょう。

センター試験まであと3ヶ月を切って、1時間、10分でも時間が惜しいときに、70時間取られる。実にバカバカしい。 高校3年生諸君に“世界史は抜群におもしろい!”と言っても、何の慰めにもならないでしょうが、その“受験世界史” の問題点を指摘し、授業では決して語られない、“本物の世界史”を語った一冊を紹介します。

まずは、生徒にも、この地図をじっくり見て欲しいですね。

map2.JPG


  ← クリックすると拡大されます。

そうです。見慣れた地図と異なり、日本は端っこに来ています。世界の人々は、こういう地図を見ながら、ものを考えます。世界の中心は日本ではなく、あくまで西欧。そして、受験世界史も西洋中心主義が過ぎる、と筆者は指摘します。

さまざまな興味深いエピソードが登場しますが、受験世界史と筆者が大学で教えている世界史に橋をかけたい、そんな思いで書いたそうです。今回の事件で、再読してみましたが、やはりおもしろいです。この先生の大学の世界史の授業に参加したくなるでしょう。


【本書の裏にある言葉】

世界史は、物言わず静かに流れる時の大河。その壮大な流れを受験世界史は古代・中世・近代・現代と切り刻み、細かな事実を羅列する。かくして、歴史は無味乾燥な年号と人名と事件の集積と化す。しかし、実際の世界史は教科書と裏腹に、もっとダイナミックに、人間くさく動いてきた。本書は、そうした歴史の裏側に光をあて、本当の世界史の醍醐味を満喫させてくれる一書。



誇大広告でなく、その通りだと思います。ただ、残念ながら、本書はアマゾンのユーズドでしか入手できないようでした。(またPHPだ)。しかし、井野瀬氏には、他の著作もたくさんありますので、きっとそちらでも同じような興奮が味わえると信じています。

http://tokkun.net/jump.htm 


『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵
PHP研究所:198P:480円



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  1. 2006/10/27(金) 14:11:47|
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『 NEW 青木世界史B 講義の実況中継 (1)ー(4)』 青木裕司

 
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青木世界史Bタ況中継.jpg




今日は、高校の世界未履修問題を受けまして、世界史に関して、参考書紹介の記事をUPします。

当教室 では、授業はオリジナルなテキストで進めていますが、自分ひとりで勉強する人には、購入できる良い参考書が不可欠ですね。急きょ、genio先生にお願いして、世界史でもっとも人気の高い参考書、『 NEW 青木世界史B講義の実況中継 』について、使い方や特徴を教えてもらいました。

以下が、genio先生の意見です。テキスト選びの参考にして下さい。


『 青木先生の実況中継は受験生のベストセラーです。が、率直に言って基礎用語をある程度押さえた受験生や歴史好きの受験生に向いている参考書です。

というのも、第一にテーマによってはかなり深い内容だからです。恐らくある程度勉強した受験生でも、フランス革命、ビスマルク外交、ロシア革命、ナチス政権、中国革命史はかなりのボリュームで読み応えがある反面、大きな流れを理解するのに苦労するからです。

もちろん、逆に言えば早稲田・慶應を狙う受験生の皆さんにとっては、大いに役に立つと言えるでしょう。

また、青木先生直筆の重要人物の似顔絵につけられたコメントは印象に残りやすく、単純暗記にはない面白さを兼ね備えています。

なお、よく受験生の間で話題になりますが、山川から出ているナビゲーターと比較すると、覚え方にオリジナリティがあり(中国の王朝名や遊牧民族など)、雑談も交えて臨場感たっぷりで読み進めやすいのですが、雑談とメインストーリーとのメリハリの点ではナビゲーターの方が整理されていると言えるでしょう



genio
先生のブログ→  『入試に出る!時事ネタ日記 



急な、お願いでしたので、細部にわたって紹介はできませんでしたが、他の科目でも、こうした参考書等の書評が、ブログをお読みいただいている方にも有益であれば、他の先生にもお願いして、参考書関連の記事をUPしてみたいと思っております。


http://tokkun.net/jump.htm 


『 NEW 青木世界史B 講義の実況中継 (1)ー(4)』 青木裕司
語学春秋社:356P(1):1155円


本記事のような、参考書紹介ものも良いという方は、恐れ入りますが、クリックしていただけるでしょうか。こちらでランキングの投票数などから、解析をしてみたいと存じます。よろしくお願いします。

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  1. 2006/10/27(金) 12:47:00|
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コビトカバ (世界四大珍獣) 【上野動物園】



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コビトカバ2.jpg


ご存知でしたか? コビトカバ。 生きた化石、世界四大珍獣の一つです。

上野動物園にいるんです。英語名は 【 Pygmy Hippopotamus 】、ピグミーなんですね。

普通のカバが体重2~4トン(4000キロ)で、こちらは、たった200キロ前後だそうです。

キュート!


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コビトカバ (世界四大珍獣) 【上野動物園】

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  1. 2006/10/26(木) 17:05:18|
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『プーチニズム-報道されないロシアの現実』 アンナ・ポリトコフスカヤ(著) 鍛原多恵子(訳)

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putinizm.jpg


日ソ国交回復50年という、記念すべき年なのですが、最近のロシアは変ですね。日本漁船に対する銃撃での船員射殺や、日本の商社が参加している“サハリン2”に対する突然の業務停止命令。

ロシア国内ではチェチェン人だけでなく、外国人の殺害が相次いでいるという報道がありますし、極東のダルネゴルスク市長選挙の候補者が暗殺され、市長選が延期になりました。

そして、何と言っても、本書の著者、アンナ・ポリトコフスカヤ氏が殺害されたことです。


アメリカのライス国務長官は、先日ロシアを訪れた際に、プーチン大統領との会談で、わざわざ彼女のことに言及し、その遺族と面会までしています。こうした批判が世界中から浴びせられることを覚悟で、権力側が、著名なジャーナリストを抹殺したのでしょうから、国内批判勢力に対する見せしめでしょう。それにしてもひどい…。

沖縄サミットで見せた、子ども相手に柔道の稽古をするプーチンの姿に、新しいロシアの指導者像、民主主義時代の到来を感じた人も多いでしょうが、(その前のエリツィンは酔っ払い、人相も良さそうではなかったし…<失礼>)とんでもない。古いソビエト、スターリン時代へ逆行しています。
 

プーチン 柔道.jpg


 
では、ポリトコフスカヤ氏は本書で、何を訴えていたのかと言えば、まさに、プーチン独裁体制に対する批判です。政府だけではなく、司法やマスコミにいたるまで、かつて所属していたKGBの手法プラス、大統領の権限を駆使し、すべてを思うままに操っています。

北朝鮮も独裁体制ですが、少なくとも経済的に困窮していますし、国連の場での糾弾などで、暴発の可能性は指摘されるものの、何をするにも制約があります。

ロシアは違います。石油や天然ガスなど豊富な資源と、このところの価格高騰で資金はふんだんにありそうですし、国連安全保障理事会で拒否権を使える超大国ですから。 疲弊していたロシア経済のゆがんだ復興が、為政者に大きな自信を与えてしまっているかのように感じます。


政治資金をめぐる争いも描かれています。街のチンピラが、その地区の裁判所や政治家を金と脅しで思い通りに動かし、他人の企業をいともたやすく乗っ取ってしまい、敵対するマフィアを叩き潰し、最後は政権中枢部に強い発言権を持つようになるさまなど、克明に記されています。

チェチェンの武装集団による、モスクワ劇場占拠事件もご記憶でしょう。学校全体を人質にするという前代未聞の事件もありました。チェチェン人はひどいことをするもんだと思いましたし、いずれもプーチンのすばやく、勇敢な解決策に、テロには絶対に屈しないという強靭な正義感と、卓越した指導力だと感心しましたが、勘違い。

彼らは人質の命など、何とも思っていなかった。おそれるのは、事件によって自らの政治的な発言力、権威が失墜することのみ。本書では、豊富な取材と証言によって、驚愕の事実(このフレーズ使いましたね)、戦慄の陰謀、恐怖政治の実態が暴かれています。


半分ほど読んだだけでため息がもれ、まだこれ以上書くことがあるのかと思ったほどです。『パウロを殺せ』 で描写されているコロンビアも、マフィアの跳梁跋扈がひどいのですが、一応、悪は悪として認識されています。

ところが北朝鮮や本書で描かれるロシアは、政権そのものが犯罪組織、秘密警察です。またまたジョージオーウェルの『動物農場』や『1984年』を彷彿させます。仮に北朝鮮の政権が平和裏に倒れたとしても、ロシアの現体制が残ったのでは、世界に対する危険度は比べ物になりません。


今は亡き筆者の勇気をたたえ、冥福を祈ります。その筆者が凶弾に倒れてしまったことは、本書が真実であることの何よりのあかしですし、驚天動地というのを通り越して絶望感さえあたえる、そんな一冊でした。


 http://tokkun.net/jump.htm 


『プーチニズム-報道されないロシアの現実』 アンナ・ポリトコフスカヤ(著) 鍛原多恵子(訳)
NHK出版:397P:2205円




P.S.(1) 国境なき記者団というのをご存知でしょうか。長くなりますので、説明は省きますが、毎年、世界報道自由ランキングを発表しています。英語で恐縮ですが、ご覧下さい。
 
      → 世界報道自由ランキング

168カ国をランキングしており、最下位はもちろん北朝鮮ですが、ロシアも147位と、記者の取材活動が、制限されているのがわかります。今回の事件で来年はかなり下げるでしょう。中国も163位とひどいですね。

ちなみに日本は、昨年より14も落として、51位だそうです。大きく下げた理由は、悪名高い、記者クラブ制度があるために海外メディアが情報にアクセスできないことと、富田メモに関して、右翼が日経新聞に火炎瓶を置いていったことだそうです。 韓国の31位にも劣っていますから、ホントかな?という気はしますが、記者クラブは早く廃止した方が良いですね、きっと。


P.S.(2) 受験生諸君は、時事の基本を確認!→『試験に出る!時事ネタ日記!


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  1. 2006/10/26(木) 11:56:27|
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『PAY DAY!!!』山田詠美 

 

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payday2.jpg




大学入試でも、話題になる山田詠美さんの一作です。他の作品も良いのですが、25日じゃないですか! Payday

本書では、アメリカの一家庭を描きます。

男女の双子の親である夫婦が離婚をします。高校教師である夫は息子と一緒に生まれ故郷の田舎に帰り、キャリアウーマンである母親の方は、娘と大都会ニューヨークに残ります。

ところが、その一年後、9.11のテロがあり、母親は亡くなってしまい、取り残されてしまった娘は、結局ニューヨークを離れ、父親の田舎で住むことになります。

アメリカの南部で、再び同居する兄妹、湾岸戦争帰還後アル中になってしまったおじ、新しい伴侶を静かに求める父、信心深く、暖かいおばあちゃん。母親抜きの5人家族が、時に、互いをわずらわしく思いながらも、支えあって生きていることを確認していきます。

きれいごとだけで人間は生きられない、傷や秘密を持ちながらその相手を認め合うようになる情景が、子供の成長と一緒に美しく描かれています。

アメリカ南部という雰囲気がよく出た作品だと思いますが、山田氏とテロとか、アメリカというところに、やや違和感を持ちました。 文体自体もアメリカ小説スタイルのように感じます。はじめ英語で書いてから訳したのか、(だから前作から7年もたった?)または誰かの作品を山田氏が翻訳しているのじゃないかと何度か確かめたほどです。

そうでないなら、英訳されるのが前提に書かれているような印象を持ちましたが、ひょっとしたら読み方が足らないのかな?少し前に読んだ、『ラブリーボーン』アリス・シーボルト著に、雰囲気が似ていて、そう感じたのかもしれません。どこかに筆者のインタビューでもあればいいのに…


良い作品だと思いますし、生徒たちにも自信をもって薦められる一冊ですが、他の作品とはちょっと違う気がして、山田詠美ファンが本書をどう読んだのか気になります。

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『PAY DAY!!!』山田詠美 payday bunko.jpg こちらは文庫の表紙。イカしたイラストですね。
新潮社:310P:1575円    


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  1. 2006/10/25(水) 11:59:16|
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『宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作』高沢皓司


syukumei.jpg



ある北朝鮮専門家が『北朝鮮関連の中でとにかく最高に面白い』と絶賛していた本をご紹介します。そのとおり、臨場感あふれる、読み応えのある一冊で、以前ご紹介した、『北朝鮮に消えた友と私の物語』に勝るとも劣らぬ一冊、双璧だと思っております。

講談社ノンフィクション賞を受賞し、ある雑誌の編集長は「これこそが本当のドキュメンタリーだ」と言って、社員に配って読ませたそうです。


★★★★★★★★★★★★★★★★
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『宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作』高沢皓司
新潮文庫:685P:900円 





P.S.
 どういうわけか、よど号ハイジャック事件や浅間山荘事件イスラエル・ロッド空港襲撃事件は入試には出ないんですよね。知らない人も増えました。北朝鮮といえば、不審船のイメージがあるためか、当教室の川柳で数年前、『よど号は ずっと船だと 思ってた』という川柳まで…。助けて~。

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  1. 2006/10/24(火) 12:48:16|
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『青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで』加藤登紀子

Aoituki2.jpg


昨日の記事 『日本共産党』にいただいたコメントに触発され、本書を取り上げてみます。

世代論は同じ時代に生まれた人々をひとくくりにしてしまうため、本質的な議論ではないという人も多いですし、結論や合意を得るのが容易ではありません。

例えば、我々が大学生の頃、新人類と呼ばれました。今、Wikipedia で調べてみますと、新人類の旗手と呼ばれている人々として、秋元康尾崎豊双羽黒光司石橋貴明、の各氏だそうです。


★★★★★★★★★★★★★★★★
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『青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで』加藤登紀子
小学館:239P:1365円



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  1. 2006/10/23(月) 12:46:51|
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『日本共産党』筆坂秀世

 


Kyousanntou.jpg


安倍政権発足後、初の国政選挙が行われます。自民・民主両党が力を入れるのは当然として、両選挙区とも毎度のことながら、共産党候補も立候補しています。 候補者本人も含め、共産党が勝てると思っている人はどれほどいるのでしょうか。また、負けると分かっていても、常に候補者を立てるのが共産党ですね。




★★★★★★★★★★★★★★★★


日本共産党』筆坂秀世
新潮社:191P:714円


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  1. 2006/10/22(日) 11:38:35|
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『官僚病の起源』 岸田秀

Kannryou病.JPG



税金の無駄使いや、公務員の不祥事が後を絶ちません。それはいじめがなくならないとか、談合がなくならない、選挙違反がなくならないのと同じように、日本人社会の性のようなものかもしれない。そんな問題意識で本書を読みました。





★★★★★★★★★★★★★★★★
『官僚病の起源』岸田秀
新書館:239P:1325円



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  1. 2006/10/21(土) 11:59:37|
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公立高校入試に出題される本・作家ランキング 



 ■■■■■ 公立高校入試に出題される本・作家ランキング ■■■■■


今月の、当教室のメルマガでご紹介したものですが、役立ちそうですから、こちらでもご紹介しておきます。

公立の高校入試には誰の、どんな本が出されるのかを調べてみました。データは2001年から2006年まで、可能な限り集めました。ただし、すべてを正確に把握することが難しいので、あくまで目安として下さい。

ただし、古典は省いてあります。吉田兼好や清少納言が頻出であることは申し上げるまでもありませんね。


注目していただきたいのは、公立高校の出題出展は、私立中学の出題出展と重なることがとても多い という点です。ですから、私立中学受験を目指している方も、ぜひ参考にして下さい。


ではさっそく、もっとも多く出された出典『本』ベスト5から!



★★★★★★★★★★★★★★★★

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  1. 2006/10/20(金) 18:20:37|
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『信さん』 辻内智貴


Shinsann.jpg


つい先ほどのNHKのラジオニュースでは、法務大臣が、いじめによる生徒の自殺を受けて、人権保護の観点から、来週一週間程度を特別に電話相談などの時間を延長した、いじめ対策強化週間のように指定するそうです。(すみません、まだネットで検索しても出てこないので、不正確な表現です)

詳しい内容はわかりませんが、つまりはキャンペーンのようなものだと思います。たとえ一時的であっても、また直接電話をかけなくても、この関心の高い時に、さらにこの問題に焦点を当てる効果はあるでしょう。


このところの飲酒運転撲滅運動はマスコミを巻き込み、かなり大掛かりで、相当な成果を上げたと聞きます。いじめ問題にしても、

『信さん』 辻内智貴
小学館:112P:1155円


★★★★★★★★★★★★★★★★

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  1. 2006/10/20(金) 13:18:35|
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『日経新聞の黒い霧』 大塚将司


 

kuroikiri.gif



日本経済新聞といえば、創立130年の老舗という歴史だけでなく、その記事内容次第で、上場企業の株価やマーケット全体を大きく変動させてしまう影響力がありますね。経済に関心がある人、ビジネスマン、あるいは就職活動をしている大学生の愛読紙です。

最近では、昭和天皇に関する、いわゆる“富田メモ” のスクープで、注目を集めましたが、それ以前の大スクープといえば、東京銀行と三菱銀行の合併のニュースです。

日本の経済界だけでなく、世界にも衝撃を与えましたが、本書の著者こそ、そのスクープをものにし、新聞協会賞を受賞したご本人です。



★★★★★★★★★★★★★★★★

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  1. 2006/10/19(木) 12:11:48|
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記事一覧・アップデート

いよいよ10月も後半です。

読書の秋!】 です。うちの塾 の生徒に対して、受験生には 『入試はすぐそこ、勉強しようぜ!』 と言いつつ、それ以外の生徒には 『読書の秋読め!』 と言っておりますが、私の場合、“ブログの秋” を迎えております!? を読むより、記事を書いている時間の方が、長いんじゃないかなぁ~と(笑)。




★★★★★★★★★★★★★★★★

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  1. 2006/10/19(木) 01:15:57|
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『オレ様化する子どもたち』 諏訪哲二



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Oresama.jpg

いじめによる自殺” に関して、学校側、教育行政の対応に批判が集中しています。確かに 『ナイフ(重松清)』 のところで触れたように、重度の機能不全におちいっている印象を私も持っていますから、大いに問題点を議論し、改善すべきだと思います。

ただし、それでも問題の一部を取り出したに過ぎません。そもそも、いじめる子、ある意味、暴行や恐喝という犯罪行為をし、他人を死に追い詰めてしまう子どもの問題は、何も分析、解決されません。

どんな生徒たちだったのか、私の知る限り、ほとんど報道もありません。


今日、取り上げるのは、現代の子どもに何が起こっているのかを掘り下げた、非常に優れた、名著とも呼べる一冊ではないかと思っています。

本書の大前提は、“子ども”という存在を、無垢のものとして神聖視したり、イデオロギーで語ったりするのをいったんやめて、何が起こっているのか分析しようというものです。

何よりも子どもというのは、学校ではなく、社会全体の思想や流れに、最も敏感に影響を受け、したがって社会を、もっともストレートに映し出しているのだからということです。 その通りだと思います。


80年代のいじめ、校内暴力、その頃から子どもが変わったと指摘され、何かあるたびに、子どもではなく、教師、学校、社会批判がなされました。しかし、いまだに世間が、『子どもがわからない』状態が続いていると指摘します。いったい子どもに何が起こっているのか。

筆者は、現代を、社会の隅々まで、生まれてから、どうやって死ぬかまで、お金とそれにまつわる情報があふれている時代だと見ます。すでに子どもたちは経済的には独自の判断をする、『消費の主体』となっています。 ところが消費では主体であっても、学習や労働の場では、主体ではありません。


“タバコを吸ってはいけない”というのは、消費の観点から見ると、自分のお金で買って、自分の部屋で吸っているならば、教師が出るマクはないというわけです。

さらに、授業中に『しゃべってはいけない』という注意に対し、『しゃべってねえよ、オカマ!』 と先生に言い返す生徒。現場を押さえられているにもかかわらず、『喫煙していない、カンニングをしていない』と言い張る生徒。これらをどう理解すればよいのでしょう。

すべて彼らが主張しているのは、市場経済でいう“等価交換”だというのです。つまり、自分の行為と処罰や人前で叱られるというマイナス行為が、つりあわないと感じて、怒ってしまう。経済的に常に“等価”という考え方が、学校という、本来、ひどくそれが釣り合わない場所に持ち込まれた現象だと分析します。

過度の平等主義から、“教師も生徒も同等の一人の人間”、などというイデオロギーも、こうした現象を後押ししているかもしれませんね。


子どもは『自分を変えよう』としなくなった、子どもには完成した自分がすでにあり、一人の個である教師に、一人の個として拮抗しようとすることが教師をあわてさせているとします。

確かに、消費ということに関しては、高校生くらいなら、大人顔負けの主体として、何でも判断できるでしょうが、教育の場面ではそうはいきません。そこを子どもにわきまえさせる、親の教養や、洞察力があるかないかで、子どもの将来に大きく影響を及ぼすという指摘です。そうなると、格差社会へつながりまでも見えてきます。


さらに、後半はメディアで盛んに発言が取り上げられる、宮台真司和田秀樹上野千鶴子尾木直樹村上龍水谷修の各氏の教育観を論評します。長くなりますので、紹介しませんが、その分析や問題提起にもうならされます。

強く推薦したい一冊です。



http://tokkun.net/jump.htm
 


P.S.
 当教室のある、横浜市都筑区というのは、ある経済紙に、日本で唯一“のダンピングが起こっている!”と書かれたことがあります。それで余計にそうかもしれませんが、何が安い、高いということを親ごさんも生徒もよく話題にします。

中には『先生、その先生の食べている弁当ね、○○で、△△時以降に買うと、50円安いよ』などと教えてくれる、超親切な子まで(笑)。 それに関する子どもの判断は常に的確なんですわ、これが。




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『オレ様化する子どもたち』諏訪哲二
中公新書クラレ:238P:777円

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  1. 2006/10/18(水) 12:49:41|
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『ナイフ』 重松清



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いじめによる自殺が相次いで報道されました。20年ほど前になるでしょうか、『お葬式ごっこ』 をさせられ、「『生きジゴク』になっちゃうよ」という遺書を残してある生徒が自殺に追い込まれました。ご記憶でしょうか。

その時になんと、4人の教師も、その色紙に「追悼の言葉」を寄せ書きしていたという信じがたい事件でした。その4人は今どうなったのでしょうか。ご存知の方いらっしゃいますか。


今回の事件も、私にとってショッキングだったのは、自殺そのもの以上に、教師が主導していたことと、校長らの、なんとしても“いじめによる自殺” ということを否定したいという、あの対応振りです。

滝川市の女の子の自殺事件も同じですね。あの遺書は、どこからどう読んでも、いじめによる自殺ですが、教育委員会はどうしてもそれを認めたくないという態度です。

ここ数年、いじめによる自殺はゼロだと文部科学省は発表していて、それに沿った処理をしたいという教育委員会や学校の意向が透けて見えます。いったい彼らはどちらを向いて教育を考えているのでしょうか。


また昨年でしょうか、公立小中学校の校長先生の年金が、官僚のトップである国の事務次官よりも高いという報道が話題になりました。

ただでさえ、優秀な人材を確保するという名目で、教員の給与は他の公務員より高く設定されていますが、何万人もいる、一校長先生が、数十人しかいない国全体を背負うエリート中のエリートである次官以上の年金というのはどうなのかという声が上がりました。

はたから見れば、学校の先生は組合を作って、権力者に対抗するどころか、すでに自らが特権階級のようです。『学校が自由になる日』の中で、千葉県では教職員の6割近くがすでに世襲のような2世教師ばかりだと指摘がありました。つまり教師という身分が、既得権益化しているという意見です。


確かに、今回の自殺のあとの対応振りは、テレビを見ている限り、教育委員会校長は、反省し、死を悼むどころか、自分たちの組織のメンツやしくみを維持したいとした行動であると映りました。

世間一般の常識から、かなり浮き上がってしまった、特権階級特有の振る舞い、官僚の国会答弁のようでした。許せない。


さて、本書で扱っているのも、いじめ問題です。表題作の『ナイフ』では、自分の子どもを守る、いじめた連中に報復しようと、父親がナイフをしのばせているところから、このタイトルが付いています。

それを、はじめとして、いじめを題材にした短編集ですが、大人から見たいじめの世界と、子供たちから見た世界のギャップが、描かれています。読んでいますと、いじめる生徒に対して、憤りを、そして現実社会のやるせなさを感じます。

親の立場、子の立場それぞれの思い、感じ方など、とても細やかに描写されており、私も塾講師として、毎日子どもに接しておりますし、それなりの“良くない情報”も集まりますが、正直、私の知らない世界を垣間見た気がしました。

ただ、いじめの問題自体を扱うというより、そういう事件を通じて、家族のあり方、親子関係などを題材にした一冊です。正直読んでいて、えげつないなという場面もありますし、解決策が見つかるわけでもありません。もう少し先生も登場させて欲しかったですね。


確かに、いじめは犯罪であり、卑劣で唾棄すべき行為ですが、なくそうというのは非常に難しいでしょう。本書に解決策が描かれないのもうなずけます。いじめをゼロにするなどというから、隠そうとするやからが出てきます。

それよりも、問題が起こっている場合に、学校や教育委員会が隠すことができないしくみを作ること、今回のようなひどい教員を早く見つけ出す制度を作ることが大切だと思います。



P.S. 今日は事件の衝撃が大きく、書評というより、コラムのようになってしまいました。すいません。



 
http://tokkun.net/jump.htm 


『ナイフ』 重松清
新潮社:403P:620円



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  1. 2006/10/17(火) 13:21:34|
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『アメリカの戦争の仕方』Jr.ハリー・G. サマーズ



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少し前であれば、大ニュースになるできごとでしょうが、テレビで自民党の幹部が『日本も核武装する可能性を検討する』 というような旨の発言を平然としていました。正直、防衛庁などが極秘に検討をするくらいだと思っていた私には、結構ショッキングでした。

もちろんそんなことが、マスコミで言え、それが大ニュースにならない環境にしたのは、北朝鮮の核実験ですね。隔世の感を禁じ得ません。国民の生命と財産を守るという、政府にとっては、風雲急を告げる状況なんでしょう。確かにありとあらゆる可能性に検討を加えてもらわなければなりません。


一方で、沖縄の嘉手納基地に配備する最新鋭の地対空誘導弾パトリオットミサイルの配備に反対する市民団体メンバーが座り込みをし、米兵や港湾作業員が車で入るのを阻止したと報道されました。これにも驚きました。意図がいまだにつかめません。


以前、『日本の戦争力(小川和久)』 などでも触れたように、とにかくアメリカ抜きでは、日本の防衛ができないのが現状ですが、そのアメリカの軍事的思想などを紹介した一冊です。

本書はアメリカ軍の教授が書いたアメリカの戦略をまとめたやや専門的な内容です。アフガニスタン空爆や、イラク戦争(2002年)当時に出版されたもので、筆者自身が1999年に亡くなっています。 つまり、9.11テロが起こる前に書かれているのは承知しておいた方が良さそうです。

さらに、その後のイランや北朝鮮問題、さらに米軍再編などがいわれましたので、現在は修正されているかもしれませんね。ただしパウエル元国務長官は、発売当初「現代アメリカ人必読の書」といったそうです。彼も軍人でしたね。


当時のアメリカ軍が目指す装備というのは一度に二ヶ所で地域紛争を十分戦えるというものだそうです(本書では不可能であると指摘していますが)。冷戦後に次々現れた国際社会の紛争、混乱は、ソ連崩壊によって、核戦争の可能性がほぼなくなったことに起因していると主張します。

独立戦争から現代まで、アメリカの戦争に対する考え方、世界戦略などを解説しています。 目次を紹介しておきましょう。


第1章 軍と国民の特殊な関係
第2章 アメリカの戦争の仕方
第3章 新しい世界の混乱
第4章 戦闘のさまざまな側面
第5章 戦闘のドクトリン
第6章 戦闘部隊の組み換え
第7章 戦闘の技術と作戦
第8章 アメリカ軍事政策の“十戒”

最後の十戒ですが、これがアメリカの戦闘の哲学といえるようなもので、こちらもご紹介しますと

1.“三位一体”の戦争を忘れるな
2.核による戦争抑止力を強めよ
3.海外の核防壁を維持せよ
4.通常兵器こそがカギである
5.敵をおびえさせよ
6.自国の力を錯覚するな
7.技術の罠に陥るな
8.軍隊は平和維持活動地域の周辺を固めよ
9.軍事政策の方向性を設定せよ
10.何よりも、戦闘拡大能力の優位性を維持せよ

以上です。


北朝鮮のおかげで、日本人は、緊迫感を持って、軍事や平和のことを考えるようになった気がします。それ自体は良いことだと思うのですが、ソフトランディングできるかどうか、政治家はここ最近では、非常に重い使命を背負っているわけですね。



http://tokkun.net/jump.htm
 


『アメリカの戦争の仕方』Jr.ハリー・G. サマーズ
講談社:278P:1785円



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  1. 2006/10/16(月) 12:54:19|
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『おやすみなさい フランシス』ラッセル・ホーバン(ぶん) ガース・ウイリアムズ(え) 

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私の絵本のおっしょうさんの一人(笑)、『ふたりdeぶろぐ』 のカヲルさんからご紹介していただきました。

あなぐまのおとうさん、おかあさんと、ちびっ子のフランシスの3人(匹)家族です。一人で眠れないフランシスが、やっと寝るまでを描いた絵本ですが、子ども、つまりフランシスの様子がなんとも子どもらしく、いとおしくなるほどうまく描かれています。


欧米では、子どもは小さいころから一人で寝かせますね。フランシスも“おやすみなさい”と言って、自分の部屋のベッドに入りますが、なかなか眠れません。

ひとり言をいっているうちに、“何かがいる” とか、“音がする” とか、あれこれ言っては、起きあがって、部屋から出てきます。 おとうさん、おかあさんも最初はやさしく、さとしていますが…。


我が家にも、ちびっ子がひとりおりますので、これも、親としては、“わかる、わかる、その気持ち(笑)”


何気ない、ごく平凡な家庭の一晩を表現しただけの作品ですが、こんな心温まる物語にしてしまうのがすごいです。子どもの成長や、家族の愛情を、ほんのわずかな緊張感を漂わせながら読者に伝えてします秀逸な絵本だと思います。

1966年に出されたロングセラー。それがうなずける作品です。


http://tokkun.net/jump.htm
 


『おやすみなさい フランシス』ラッセル・ホーバン(ぶん) ガース・ウイリアムズ(え) まつおかきょうこ(やく)
福音館書店:32P:1050円



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やっぱり、絵本いいですね。これからも時々、取り上げたいと思います。最後までお読みいただいてありがとうございます。少しでも参考になりましたら、応援のクリックをいただけるとうれしいです。

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  1. 2006/10/15(日) 12:16:11|
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『スヌーピーの処世哲学』 廣淵升彦

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こちらのブログに時々コメントを下さる、国際ジャーナリストでエッセイストの廣淵升彦先生。先生の、大変ユニークで、おもしろい、好奇心を刺激する新刊が出版されました。本書です。

副題は、『感性をみがく言葉の力』 とあり、本の帯には 『スヌーピーたちに学ぶユーモア、人情の機微、会話術』 と書いてありますが、まさにその通りの一冊です。


まず、スヌーピーが登場するマンガ 「ピーナッツ」 や、その登場人物の簡単な紹介があります。なんと、「ピーナッツ」は50年!も続いているんです。“サザエさん”と互角です。

そして、サザエさんに、日本的な風景や社会、日常が描かれているように、ピーナッツにはアメリカ的なものが、ぎっしり詰まっているわけです。しかもそれがアメリカにとどまらず、世界中の人の心をとらえてはなさない。


個人主義が発達し、生存競争が激しく、自分をアピールしなければならないアメリカ社会。サザエさんの穏やかさとは対照的ですが、そこで生まれ育ったピーナッツは、よ~く観察してみると、教養豊かな会話や知的ユーモアの宝庫、毒も笑いもあって、“処世哲学”がふんだんにちりばめられているので、それを学んでしまおうというわけです。


本書で紹介される「ピーナッツ」は、4コマ程度が中心ですので、サザエさん以上に、より象徴的に、凝縮した形で、表現されています。お見せした方が早いと思いますので…、こんな感じです。


Snoopy 中.JPG



見にくくて恐縮ですが、例えば、このマンガ、ある出来事がきっかけで、女の子(サリー)が男の子(ライナス)にさんざんの悪態をつき、

どこで会っても、絶対に口をきかない” といって去りますが、最後に男の子が

 もしもボクがライ麦畑を通ってきたらどうする

How about if I were coming through the rye?” と呼びかけています。


なぜこれが、オチになるのか、すんなり分かれば良いのですが、白状しますが、私も本書で学んだ次第です。こういった文化的背景や、英語に関する解説が、マンガに続きます。ピーナッツで使われる英語自体も、妙な副詞や修辞法を用いることのない、しっかりした英文なのですね。“しょせんマンガ” とあなどってはいけません。


廣淵先生はご自分のブログ “ View of the World - Masuhiko Hirobuchi ” でも、本書でも、正しい言葉、生き生きとしたやりとり、そして気の効いたユーモア(できれば高い教養)などを強調されます。


今の日本の言語空間が非常に安易な、単一の言葉で、さまざまな事象を解説し、片付けられてしまっている現実に警鐘を鳴らします。

言葉は、本人が気付く以上に、自分の評価を上げたり、下げたりし、意思伝達の手段であると同時に、思考の源でもある。そこが貧困になれば、個人の思考も、そしてやがては、社会や国家まで貧困な精神が蝕んでしまう。そのことに意識を向けて欲しい、そんな願いを感じる一冊です。


哲学” とは言っても平明な言葉で解説してありますので、国際人と呼ばれることをめざす夢多き若者から、我々のような英語教師はもちろん、中学生まで興味を持って読めると思います。

純粋にマンガを楽しむのだって“アリ” (あっ、怒られる、もとい“No problem”?)だと思いますよ(笑)。


尚、廣淵先生の作品がおさめられた、別の一冊、日本エッセイスト・クラブが出した 『片手の音 ’05版ベスト・エッセイ集』 も、以前ご紹介しましたので、ご覧いただければ幸いです。





P.S. 
自分の無教養をさらしてしまいますが、実は、私はスヌーピーというキャラクターは見慣れておりますが、それがそもそも「ピーナッツ」から生まれたということすら知りませんでしたので、本来、レビューを書く資格すらあやしいのです。先生、すみません。

でも、まぁ勇気を振り絞って(笑)、書きました。安直な言葉の汚染の片棒を担いでいる身にとっては、耳の痛い話で、本記事が、先生のご著書を汚すことのないことを祈りつつ。



http://tokkun.net/jump.htm 


スヌーピーの処世哲学』 廣淵升彦
海竜社:230P:1575円


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↑で、サザエさんを例に出しましたが、そういえば、以前、『 バカモン!波平、ニッポンを叱る(永井一郎) 』をご紹介した折に、唯一コメントをいただけたのは廣淵先生でした。偶然でしょうかね?

それを思い出して、2位とも離されましたし(笑)、記念にこんなバナーを作ってみました。

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  1. 2006/10/14(土) 11:31:33|
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『セ耳』 松澤喜好 

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さぁ、平成19年度、大学入試センター試験まで、あと99となりました。つまりケタ、ここからはいよいよ カウントダウン!です。入試までの勉強計画、最後の練り直しです。受験生諸君、がんばろう!

さて、こんな時期から、新しい参考書を探すなら、的を絞ったものでなければなりません。 『英語』 が新鮮で良い内容でしたので、期待して本書を購入しました。

妙な書名ですが、“セ”はセンター試験。副題には、『発音でセンター試験英語リスニングを攻略する』 となっています。つまり、好評の『英語耳』のメソッドで、センター試験を攻略しようという意図です。


ところが、結論を言ってしまいますと、『英語耳』 とほとんど同じ内容でがっかりです。『英語耳』を購入済みの方は、本書は必要ありません。発音記号の説明から、例文まで同じものがありましたから。(少々ムッとしております。 ちょっと売れるとすぐこれだ)

では、『英語耳』を持っていない人はどうか。 本書で良いかといわれれば、残念ながらそれも薦められません。というのは、著者が、どれほどセンター試験に関して分析をしているのか、ちょっと疑問に思うからです。


まず、スピーキングを徹底的に重視して、それがリスニングにいきるという、独自のメソッドですから、slow な英文から発音練習するのは良いとしても、最後に、センター試験の模擬試験が2題付いていますが、こちらまで、センター試験よりスピードが遅いのです。

私には、このスピードは、英検3~準2級レベルだと感じられたのですが、これで対策を立てたのでは、本番で面食らってしまいます。練習例文ならともかく、実戦問題と呼んでいる以上は、本番と同じにしてもらわなければ、自分の実力を誤って判断してしまいます。

また、問題自体も、オリジナルでしょうが、センター試験より英文の内容が薄いというか、易しいと思います。

さらに解答の解説も、とても筆者本人が書いているとは思えないほど淡白な印象で、読んでも、ほとんどリスニング力アップには役立たないと思います。

このシリーズにはさらに、『闘耳』(TOEIC対策)が出ています。アマゾンでは評価が高いようですが、とても買う勇気はありません(笑)。


ありがたいことに、私のブログを見て、『英語耳』を買った。良かったと言ってくれた人がいました。そうすると私のように、本書を購入を検討している人がいるかも知れませんが、残念ながら、こちらはとても薦められません。


キムタツ先生のテキスト はもちろん、これまでご紹介した、他のセンターリスニング対策本の方が数段優れていると思います。


生徒やご父母、または他の方でも、私のつたない文を参考になさって下さる方がおられる以上、ご紹介の責任は重大です。

本来はブログにある本は全部お薦め!としたいところですが、テキスト類は玉石混交、たまには、こうした残念な本の紹介も、ひとつの情報ですから、仕方ないですね。



P.S. 当教室 のリスニング対策講座と、TOEIC、IPテストも近付いています。講座で会いましょう!


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『セ耳』松澤喜好 
ダイヤモンド社:136P:1500円(CD1枚付き)  数学 読書  小説  書籍・雑誌  ニュース  育児 book   学校  大学  サッカー  おすすめサイト 健康  健康・病気 心と体 美容・健康


 

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  1. 2006/10/12(木) 19:32:04|
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『遺品整理屋は見た!』 吉田太一

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扶桑社(出版社)の、本書の担当の方から、読んでもらえないかということで、お贈りいただいた一冊です。別にこうして記事にする義務はまったくないらしいのですが、衝撃的な内容で、大いに考えさせられましたので、取り上げたいと思います。


筆者の吉田氏は、“遺品の整理” ということを生業にしていらっしゃいます。人は家族に看取られ、普通に亡くなれば、別に問題はありません。仮に遺産相続でもめたとしても、弁護士なり裁判所で、遺品に関してそれなりの結論が出ます。

問題となるのは、たとえば身寄りのない独居老人が亡くなったり、一人暮らしの人が自殺してしまったり、あるいは殺人事件で同居の家族が逮捕されてしまったりした場合です。しかも、それが賃貸の物件で起これば、それこそ、貸主(大家)は困り果ててしまいます。

実際にそういうできごとが頻発しているそうで、だからこそ、筆者の仕事が成り立つわけですね。しかしながら、その遺品整理という仕事は、引越しの後片付けとはわけが違います。整理と言っても、そこは殺人現場であったり、死後かなりの時間がたっていたりする場所です。

想像を絶する現場に日々出くわし、興奮している遺族や、逆に、かかわりたくないと冷淡な関係者を相手にしなければなりません。筆者はビジネスとはいえ、そこで故人の人生を思い、人間というものの割り切れなさを嘆かざるを得ません。

筆者が、実際に扱った46の壮絶な現場や、故人や遺品整理の状況が紹介された一冊です。


■■■■■■ ここからは、グロテスクというか、死体現場に関する内容ですので、苦手な方は、次の■■■■■■ まで飛ばして下さいね。

よくニュースなどで死体が発見されたきっかけが、“死臭” であったと報じられます。私は死臭を知りませんが、本書を読みますと、腐乱した死体の臭いというのが大問題なようです。周りの住民からは苦情の嵐、大家は途方にくれるという場面が何度も出てきます。

また、夏場だと、部屋から廊下にまで、うじ虫がわいてしまうこともあれば、部屋中がゴキブリの巣と化して、壁一面にはりついているなどという、ホラー映画まがいの話まで出てきます。

死を前に投げやりになって、動けなくなってしまったのか、いわゆるゴミ屋敷と化している状況も珍しくなく、その中で遺品を整理するわけですから、作業員は相当な覚悟が必要だと、容易に想像できます。

それが、殺人現場であっても、警察がきれいに掃除してくれるわけではありませんから、時にはまだかわいていない血がべっとりと付いたところでの作業となります。刃物で自殺をし、のたうちまわった人の場合も同様です。腐敗した死体から、体液が染み付いていたりする場所に入るなど想像を絶します。


こういった、その場での苦労に加えて、遺族とのトラブルなどに対する苦悶があります。親だとは思っていないから、さっさと片付けてくれ、と怒鳴られたり、逆に遠くはなれた一人息子の死に直面している家族たちと日々接するわけですから、強い信念がなければとても続けられる仕事ではないでしょう。

ここまで
 ■■■■■■ 


今の日本では、一人暮らしの老人の数は増える一方ですし、自殺の数も年間3万人を超えるという事態ですから、これからもこのような出来事は続くと予想されます。

すべての人が自分の死後の準備を万端整えて、旅立つわけではありません。介護付きの老人ホームはとても費用がかかると聞きます。

自殺でなくとも、死というのは突然訪れることも多いですし、事故や病気はいつ出くわすか分かったものではありません。

本当に考えたくなくても考えておかなくてはならないことというのは、人生には多いと思いますが、最大のものが自分の死後のことでしょうか。


普通なら、自分とは無関係と思いたい悲惨な事例が次々と続きますので、読みたくもない内容なのですが、筆者の、優しく、心のこもった書き方で冷静に読み進めることができました。

内容が内容だけに、他人に勧めるというのは、どういう意味?なんて聞かれると困りますが、こぎれいな街並みの中に住んでいても、人間社会には、常にこういう問題があるということ、そして筆者のような人々が必要とされていることが分かって、私には衝撃を受けると同時に、勉強になりました。

きつい本ですが、興味をもたれた人はそのつもりでお読みになったらどうでしょうか。



http://tokkun.net/jump.htm 


『遺品整理屋は見た!』 吉田太一
扶桑社:222P:1260円


P.S. 扶桑社の○○様、拙ブログをお目に留めていただいただけでなく、現代社会に問題提起するような一冊を、献本いただき、ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
           VIVA

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ふ~、今日は書き終わって、やっと呼吸ができた気分です。

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『本当の学力をつける本』 陰山英男

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 安倍首相が掲げた教育改革を検討する 「教育再生会議」 が設置され、そのメンバーが発表されました。座長は、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏。計17人の有識者と安倍首相、伊吹文部科学相、それに山谷えりこ氏らで構成するようです。

以下がそのメンバーですが、みなさんはどんな感想を持たれるでしょうか。


浅利慶太 (劇団四季代表)・ 池田守男 (資生堂相談役)=座長代理 ・ 海老名香葉子 (エッセイスト)・ 小野元之 (日本学術振興会理事長)・ 陰山英男 (立命館小副校長)・ 葛西敬之 (JR東海会長)・ 門川大作 (京都市教育長)・ 川勝平太 (国際日本文化研究センター教授)・ 小谷実可子 (日本オリンピック委員会理事)・ 小宮山宏 (東大総長)・ 品川裕香 (教育ジャーナリスト)・ 白石真澄 (東洋大教授)・ 張富士夫 (トヨタ自動車会長)・ 中嶋嶺雄 (国際教養大学長)・ 野依良治 (理化学研究所理事長)=座長・ 義家弘介 (横浜市教育委員ヤンキー先生)・ 渡辺美樹 (ワタミ社長)   【50音順】


私は知らない方もおられますし、どの程度、この会議が力を持つのか未知数ですが、かなり目立つ布陣ではないでしょうか。力を入れているんだなぁという印象は持ちますね。

この中で、ゆとり教育導入の論争時、さかんに学校の現場から、反復練習の必要性を説き、百マス計算で一躍有名になった、陰山英男先生の著書を取り上げます。

というのも最近、ある新聞で、「百マス計算のせいで、計算が嫌いになり、友だちともつきあいにくくなった」 というような批判があり、さらにそれに同調するかのような記事を目にしたからです。


そもそも百マス計算自体は、新しいアイデアでも、何でもありません。ごく普通の計算練習に遊びや、競争の意識を入れただけのものに過ぎないのですから、当時、書店に「百マス~」 が、あふれるほど並んだこと自体がおかしいと感じました。

こんなことは、授業の工夫の一つで、単語テストや暗記競争であれ、漢字テストであれ、賞状を作ったり、グラフを示したりして、生徒に発奮してもらう材料に過ぎませんから、うまくハマる子もいれば、やってられないとそっぽを向いてしまう子も出てきます。

その点に関して申し上げれば、宮本哲也先生の 『強育パズル』 や 『合格パズル』 にしても同様です。 すべては、教師の力次第で、クラスの雰囲気や、学習の効用などを考えながら導入すべきものです。あまりにも陰山氏の学校の進学実績や百マス計算の効果が喧伝されたために、百マスだけやれば、学力が伸びると勘違いした、教師や親が間違っています。

百マス計算のせいではなく、余計なブームを作り出したために、「自分もやらねば」「乗り遅れる」 と思った塾や、教師が、その力量もないのに、百マスという名前に頼ったのが間違え、それを当てにした親が間違えです。 こんな単純な作業を、長期に渡ってやらせ、学力を上げてしまう陰山氏の力量がすごいのです。

教師は常に、教材研究を怠ってはならないのですが、すでに世の中に良い教材はあふれていることもまた事実です。どうやらせるのか、そのクラスや生徒に合わせて何を選ぶかが、教師の力量なんです。学習効果が出ないことを、教材のせいにする前に、自分でふさわしい教材を厳選しだり、作ったりすること、また、そもそも自分の指導力を疑った方が良いですね。(もちろん自省の念を含めて)


教育現場からの、陰山先生に対するやっかみもかなり含まれている感じを受けます。何年か前、急に校長になられた時、かなり批判的な教員のHPをいくつも見た記憶があります。現在の肩書きを見ますと、すでに辞めてしまっているのでしょうか。


さて、ついつい力が入ってしまって長くなりました。本書にも、ごく当たり前の教育論、家庭でできること、学校でできることが紹介されています。

これまで、ご紹介した 『親力で決まる』 の親野智t可等氏と似ている印象も持ちます。大村ハマ先生の『教師 大村はま96歳の仕事』や、森口朗氏の『授業の復権』、そして、亡くなられましたが、家本芳郎先生の『教育力を磨く』 など、きっと多くの共通した考え方を見つけられると思います。


『教育再生会議』 のメンバーのみなさん。国内の教育改革、大きく前進して欲しいと願っています。“骨抜き” などと言われないよう、官僚、教育現場としっかりわたりあって下さい。


http://tokkun.net/jump.htm 


『本当の学力をつける本』 陰山英男
文藝春秋:239P:1300円

 

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  1. 2006/10/11(水) 14:28:47|
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★入試に出題された本No.3★

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今回も、当塾メルマガで紹介されました、入試に出題された本シリーズの第3回です。よろしければ、第1回、第2回の記事もご覧下さい。いろいろな先生方が書いておられます。

今回は6冊です。バラエティーに富んだものが集まりました。

■ 『寝ながら学べる構造主義  内田樹  (文藝春秋 725円)

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哲学的な文章は、中学生に留まらず高校生でも日常生活や普段の読書からかけ離れた近付き難い印象を与えるかもしれませんが、あらかじめ専門的な知識や考え方を身に付けていなければ手に負えないという訳では必ずしもなく、与えられた文章をきちんと追えるか、そのなかで考えられるかということに課題は集約されるようです。2004年度、都立新宿高校の入試問題になった本書も、何となしに用いている「ものの名前」がもつ構造を一歩踏み込んで考えてみようというものであり、決して突飛な事柄を扱ったものではありません。流行りの哲学をものにしようなどと大上段に構えることなく、気安いタイトルがついた本書は、私達の身の回りの出来事について考えるきっかけを与えてくれると言えるでしょう。



■ 『夏の庭』 湯本香樹実 (新潮文庫 420円)


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過去5年間で16回も出題された作品。城北埼玉や世田谷学園で出題されました。近所の老人が死ぬところを目撃するために、見張りを続ける少年達。その無邪気な好奇心や冒険心、そして子どもから大人への成長というテーマは、懐かしさを感じさせます。映画にもなった作品で、ストーリー的にはスティーブン=キングの『スタンド=バイ=ミー』に似ていて、少年期の底抜けの明るさ、奇妙によぎる不安などを絶妙に描いていると思いました。



■ 『読書力』 齋藤孝 (岩波書店 735円)


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声に出して読みたい日本語」「理想の国語教科書」「三色ボールペンで読む日本語」など次々とヒットしている著者の読書に関する考えをまとめたものです。なぜ本を読まなければならないのか、ということから始まって、読書力の鍛える基準を“3~4年間で文庫100冊、新書50冊”としています。人々が新聞や本を読まなくなったといわれて久しいのですが、かつての日本の強みは読書力によって支えられてきたとまで言い切っています。また、せっかく読むのだから、なるべく本の内容が自分のプラスになるように活かす方法をいろいろと紹介しています。



■『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 森絵都 (角川文庫 460円)
 


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クラシックのピアノ曲を背景にした3作品が収められています。入試で出題されたのは『少年は眠る』という作品です。夏休みに年齢の違う親戚の子供たちが別荘に集まり、2週間をともに過ごします。そこでの出来事を綴った物語です。リーダー格の少年は、日々の日課を強引に決め、その他の子供たちはそれに従うしかありません。しかし、その強引さに主人公やその他の子供たちは疑問や不満を持ち始め、ついに…。その他の2作品に関しても中学生を主人公にした、素晴らしい作品です。来年も出題される可能性は大きいのではないでしょうか。



■ 『海の物語』 灰谷健次郎 (角川文庫 599円)


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主人公は漁師の父親と二人で暮らす少年健太。健太は将来父のような漁師になることを夢見ており、船に乗り込み父親の手伝いをしています。そんな健太と交流があるのは都会からの転校生可南子と担任の紀子先生。これらの設定は一歩間違えば陳腐な設定になりがちにも思えますが、彼女らの存在が非常に効果的に個性的に描かれていますので、全く陳腐さは感じられません。むしろ必要不可欠で当然の存在のように思えます。登場する大人達は生活していく上での現実的な問題をきれい事ではなく大人の視点で考えていきます。子どもはそんな大人達の考えをそのまま受け入れることはできず、それに対抗し子どもたちの正義を貫こうとします。考えの異なる大人と子どもが同じ体験をしていく中でお互いの理解を深めるというのが灰谷健次郎の作品の指針であり、本作品では漁船に乗りこみ、漁業を通じてその理解を深めていきます。また漁業問題や海洋汚染問題が大人と子どもの共通テーマとして分かりやすく提示されています。質の良い邦画を見た後のようなほのぼのとした気持ちになり、きれいな海を守ろうという気持ちにさせられる非常に上質な小説です。(横浜隼人高校平成16年度入試出題)



■『この本が世界に存在することに』 角田光代 (メディアファクトリー1470円)


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 泣きたくなるほどいとおしいと紹介されていた一冊で読んでみようと思いました。“本”をテーマとした9つの短編物語集です。その中の“さがしもの”は、余命があと少しの祖母から、本を探すように言われた主人公の話。“彼と私の本棚”では、恋人と一緒に住むことで、同じ本を読み、それによって互いに共有していた同じ光景。それが別れにより無理やり切り離される・・・。どの小説も本への愛情がこもった一冊でした。(東京都立日比谷高等学校出題)


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